不安・恐怖という幻
子供だましという言葉があります。文字通り、子供をだますときのような浅はかなカラクリといいましょうか。
「早く寝ないとお化けが来るぞ〜」
といったような。たとえそれが子供だましであっても子供にとってはとても深刻な感情を体験することがあります。その時、子供には大人の何気ない冗談がとてもリアリティーある言葉に聞こえていることでしょう。
たかが子供だまし。されど子供だまし。
お化けを怖がらなくなった大人でも怖いものは沢山あるもので。むしろ、大人のほうが沢山の恐れを背に生きているかもしれません。
この世知辛い世の中、あまりにも多くの不安要素が蔓延しています。年金、保険のあまり希望的ではない話題の絶えない昨今、将来への不安や恐怖を大人の心に刻んでいるようです。
とても現実的な不安が大人ならではの負の想像力を刺激しているかもしれません。そして、不安が妄想を呼び、実体も根拠もない新たな恐怖が心を支配して大人をあらぬ行動へと駆り立てるかもしれません。
実は、大人は子供だましのお化けが、お化け以外のものに摩り替えられた程度のものに恐怖し、新たな恐怖を想像しながら恐怖と不安という幻に翻弄されているのかも知れません。
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※ 本内容は出版を意図して執筆したものをそのまま公開しております。
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