裸の王様
アンデルセンの童話。多くの人が一度は触れたことのある童話ではないかと思います。見栄っ張りな王様が、2人の自称布職人に騙されて、馬鹿や自分にふさわしくない仕事をしている人には見えないとする布を買うこととなった。当然そんな布は最初からなく、見栄っ張りな王様は自分にそれが見えないと打ち明けられず、周囲の者も見えないと言えず、王様は裸のままパレードに出るという沢山の風刺がこめられた童話です。
ここに裸の王様のようなHさんという人物がいるとして見ましょう。現代版裸の王様という設定を通してその様々な心の状態を観察してみようと思います。
とある企業の部長Hはそれほど能力は高くないものの、プライドはかなりのものを持っていました。そして、H氏率いる、その部の主要メンバーはある一点で共通項があった。それは、皆、プライドは人一倍だということ。
Hはある案件を引き受けようとしていた。しかし、それはHの能力、そして、その主要メンバーたちのスキルを上回るものだった。しかし、Hはそれを断ることが出来なかった。なぜなら、それはかつて、Hに数々の幸運が重なり、奇跡的に達成されたある案件に酷似していたからであった。その奇跡的成功が今のHの地位を決定付けたと言ってよかった。無論、その成功はHの実力では有り得ない成功であることは確かだった。しかし、 Hはある妄想に陥っていた。それはかつての成功は実力だったという妄想に。
戻る 次へ
本書の使い方
※ 本内容は出版を意図して執筆したものをそのまま公開しております。
|